【耳つぼ、戦場鍼】耳を揉む・鍼を刺すとどうなるか
目次
耳を揉む・鍼を刺すとどうなる?
身体には数100個もの経穴(ツボ)が存在しており、鍼灸師は患者さんの状態を見極めて適切なツボに治療を行います。
”一般的に用いられるツボ”と”耳にあるツボ”は別グループに位置しているのですが、中国や欧米では耳つぼ専門の治療院も多く、研究も盛んに行われています。
以下では、耳つぼや期待される効果について見ていきたいと思います。
耳つぼとは?
耳つぼの起源は大きく分けて2種類あります。
1つ目は中国発祥の”耳穴療法”です。
全身にはとても多くのツボがあり、ツボ同士を繋いだものを経絡をいいます。
東洋医学を中心に医療を発達させてきた中国では、耳を用いて全身の治療を行うために古くからツボの研究がなされていたようです。
ただし、本格的に体系化されたのは比較的近年になってからで、次に述べる欧米式の耳介療法が発展するとともに逆輸入された経緯があります。
国内の書店で専門書を探すと、中国の耳穴療法を参考にしたものが多い気がします。
2つ目はフランス発祥の”耳介療法”です。
これは、フランス人であるノジェ医師が西洋医学における神経学や発生学をもとに開発した治療法です。
耳への刺激が脳や神経に影響を与え、これにより遠くにある身体の異常まで治療することができるとされています。
この耳介療法ですが、欧米では腰や肩に行う一般的にイメージされる鍼灸と比べても遜色ないくらい浸透しており、衣服を脱ぐ必要もないため各国の医師を中心に積極的に実施されています。
耳介療法では、耳が胎児を逆さまにした形に似ている事に着想を得てツボの位置が定められています。
事前に十分な問診や検査をして治療点を決定するため現代的な手法といえますが、施術者はそれに見合うだけの非常に高度な医学知識が求められます。
(もちろん中国式が簡単という訳ではなく。)
こうした起源を持つ耳つぼですが、日本でも”耳つぼダイエット”で話題になり、今では多くの治療院などで採用されているほか、一般向けの書籍も数多く出版されています。
耳を揉む・鍼をする意味
耳つぼは、家庭では耳揉みや綿棒での刺激、治療院においては鍼を用いて刺激を与えます。
では、こうした行為は身体にどのような変化をもたらすのでしょうか?
まだまだ研究段階な部分が多く、すべてのメカニズムが解明されているわけではありません。
ただ、耳には自律神経が広く分布しており脳との距離も近いことから、刺激によって様々な効果が引き起こされていると考えられてます。特に耳の穴の周辺には自律神経の一つである副交感神経が集中しており、この神経が持つ抗炎症作用や身体をリラックスさせる働きが近年注目されています。
痛み治療の分野では、耳への刺激が前頭前野の血流量を増加させることで鎮痛が期待できるともされています。
前頭前野は過剰な痛みを抑制する役割があり、慢性痛やうつ病の方では血流量が明らかに減少して機能低下が認められます。
これの改善に耳つぼが非常に注目されており、欧米ではノジェ医師の耳介療法をベースに研究が進められています。
また、アメリカ軍ではASP鍼という特殊な耳鍼を用いて「戦場鍼(バトルフィールド鍼灸)」という形式で積極的に臨床応用されています(戦場鍼とは?)。
さいごに
いかがでしょうか。
耳つぼについて少しでもご理解が深まれば幸いです。
自律神経に働きかけてリラックス作用のある耳つぼ。皆さまも是非、指や綿棒などでマッサージしてみて下さいね!
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