【慢性痛】痛みの仕組み-②痛みはどのように感じるか
目次
痛みの仕組み-②痛みはどのように感じるか
前回は、痛みがどういったものかを解説しました。
今回は、実際に痛みを感じる仕組みについて見ていきたいと思います。専門的な内容も多少含まれますが、できるだけ簡単に説明していきます。
痛みの知覚
痛みに限らず、触覚・温度覚など身体で感じる感覚は神経の先端にある受容器(センサー)で情報を受け取る必要があります。
大事なのは、センサーが刺激されなければ何も感じないということです。
痛みの情報を感知するセンサーは身体の色々な場所に存在しており、このセンサーを刺激するものは”侵害刺激”と呼ばれています。日常考えられるものとしては、転倒したときなど外から受ける力(機械刺激)とストーブに触れるといった熱刺激があります。
これらの侵害刺激は、センサーを刺激することで全て電気信号へと変換されます。
家庭内にある照明器具を例に考えましょう。
各家庭へは、発電所からの送電により電気が供給されています。
火力発電や風力発電で生じたエネルギーを電気に変換し、それが電線を通して運ばれているという訳ですね。
電力の発生には、発電所で作られるエネルギーが不可欠です。
つまり、途中の電線を叩いたり揺らしたりしても電気は発生しません。
痛みも同じで、侵害刺激(外力や熱刺激)というエネルギーが電気に変換され、それが神経を通って脳へと伝わると”痛い!”と感じるのです。
もう少し詳しく
繰り返しになりますが、痛みが生じるためには外力(機械刺激)や熱刺激が必要です。
これらの刺激ですが、軽度なものでは痛みにはなりません。
外力も通常は”何かが触れた”と感じるだけで、例えば握手をしただけでは痛みはないと思います。熱刺激にしても、普通にお風呂に入っただけなら気持ちが良いですね。
しかし、転んだり熱湯を浴びたみたいな過度の刺激になると、痛みを感じる神経の先端にある受容器(センサー)が反応してしまいます。この過度の刺激を侵害刺激というのです。
発電所の例でも述べましたが、電気は発電所以外では発生しません。
これは神経でも同じです。
神経における発電所は、その先端にあるセンサーです。ここに侵害刺激が加わることで、外力や熱刺激が電気信号へと変換されて神経線維を通り脳へと伝わります。
途中の神経線維にはセンサーが存在しないため、刺激されても電気信号は発生しません。
大きな怪我によって神経線維が損傷した場合には、異所性発火という漏電現象が起こって痛みを引き起こす場合が例外的にありますが、基本的に神経は頑丈に出来ており、センサー以外で電気信号は発生しないのです。
椎間板ヘルニア・脊柱管狭窄症など
上記の通り、侵害刺激(外力や熱刺激)は神経の先端にあるセンサーを刺激して情報を電気信号に変換しますが、途中にある神経線維は刺激に強くセンサーも存在しないため電気信号は発生しません。
つまり、痛みの原因と言われることの多い椎間板ヘルニアや脊柱管狭窄症によって神経線維が圧迫されても、それが痛みに直結するわけではないのです。
背骨や椎間板は、加齢に伴って変性することも珍しくなく、腰痛の有無に関わらず一定の割合で何かしらの異常がみられます。
「腰痛がある人は背骨にも異常がある」かもしれませんが、「背骨に異常があっても腰痛とは限らない」のです。
では痛みの原因は?ということですが、それは後の回に解説したいと思います。
ここで知ってほしいのは、神経の圧迫で生じるのは”痛み”ではなく”麻痺”だということです。神経系の連絡が途絶えるわけですから、電気信号が伝わらず「感覚がない」や「身体が動かせない」といった症状が現れるのです。
手術によって構造上の異常(ヘルニア、狭窄症)を取り除いても痛みが消失するとは限りません。
痛みは、それ自体が病気であると考えて治療に臨むべきだと思います。
さいごに
いかがでしょうか。
今回は、痛みを感じる仕組みについて見てきました。
少しでも皆様のご理解に繋がれば幸いです。
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