ストレスと痛みの関係とは?
目次
ストレスが痛みの原因?関係性を考えます。
現代社会とストレスは決して切り離せないものです。
SNSの発達で知らない人の生活まで窺い知ることができる現代。
人との繋がりが希薄になっているとワイドショーでみましたが、一方で、広く広く関わることが可能になったようにも思います。
情報がすごい速さで駆け巡り伝わる、
私自身、その恩恵を日々感じていますし、本当に便利な社会になりました。
しかし社会が進歩するにつれて、互いに監視しあうような、ある種の窮屈さを生じているのかもしれません。
ところで、”ストレス”が”痛み”と深く関係するというのが今回のテーマです。
腰が痛い、首肩が痛い、頭が痛い、などなど。
痛みもまた、現代社会と切り離せない要素ではないでしょうか?
以下では、”ストレス”と”痛み”が身体に及ぼす悪影響についてみていきたいと思います。
まずは”ストレス”について
では、”ストレス”を掘り下げて考えていきましょう。
先ほどはSNSを例に挙げましたが、仕事も忘れてはいけない要因です。
厚生労働省が実施していた「労働者健康状況調査」によると、年代を問わず60%前後の人が仕事でのストレスを感じているようです。
またストレスの内容では、人間関係が最も多く、次いで仕事の量や質、将来への不安などと回答されています。
では、ストレスってそもそも何?という話になりますが、これは「日常生活における様々な苦痛および、それを感じた時の感覚。」とウィキペディアでは説明されています。
すでに述べた人間関係や仕事に加えて気候や屋内外の空気など、苦痛を感じる場面は本当に多く、至る所にその種は潜んでいます。
まったくもって油断なりません、、、
私たちの身体は内部環境を一定に保つホメオスタシスという性質があるのですが、ストレスはもともと、様々な苦痛によって崩れた内部環境を整えるための反応です。
つまり人体に必要な感覚ではありますが、あまりにも過剰に感じてしまうと害となり、心身に異常をきたしてしまうのです。
過剰なストレスによって身体に現れる反応は、大きく分けて3つあります。
◇身体面
胃潰瘍、過敏性腸症候群、気管支喘息、動悸・息切れ、身体の痛み(腰痛・頭痛など)。
これらの症状は総称して心身症と呼んでいます。
ストレスは心の問題と考えがちですが、実際には色々な部位に問題が現れます。
◇心理面
うつ状態、不眠症、不安感などが代表的な症状です。
自律神経やホルモンバランスの異常が原因で、近年では誰でもなり得る疾患として知られています。
私たちの心のキャパシティはそれほど大きくありません。
決して無理をせず、いつでも逃げられるような余力だけは残しておくべきかもしれません。
◇行動面
飲酒量や喫煙量の増加、ギャンブル依存、暴力、仕事のミスなど。
過剰なストレスによって、自身の感情や欲望にブレーキが利きにくくなってしまいます。
取り返しのつく内に、身近な人や相談機関を頼ることも大切です。
続いては”痛み”について
さて次は”痛み”です。
痛みは、擦りむいたり火傷をしたり、そういった刺激が電気信号となって神経を通り、最終的に脳で感じる感覚です。
さらに国際疼痛学会では、
「痛みは、実質的または潜在的な組織損傷に結び付く、あるいはこのような損傷を表す言葉を使って述べられる不快な感覚・情動体験である」
と定義しており、痛みは「自身が感じる不快な感覚や体験」といえます。
刺激が神経を通り脳に伝わる
基本的にはこの考えで良いのですが、実際には脳の様々な部位で修飾が加えられています。
スポーツの大事な場面では骨折をしていても気付かないというケースがありますし、火事場の馬鹿力という言葉も昔から使われています。
また反対に、発表会のような緊張する場面や恐怖を感じている時には、痛みがより強くなってしまいます。
このように感情が及ぼす影響は非常に大きく、ポジティブな感情は痛みを弱く、ネガティブな感情は痛みを強くすることが知られています。
慢性痛の患者さんではネガティブな感情に支配されているケースが多く、痛みが痛みを呼んで重症化することも珍しくありませんし、そのほか不眠やうつ状態も併発しやすくなります。
↑についてもう少し書きますと、「痛い!」という感覚はそもそも不快なものです。
痛みには危険を知らせるアラームの役割があるので当然ですが、それを気持ちいいと感じる人はいないと思います。
したがって、痛み自体がネガティブな感情を生み出しているため、すぐに鎮痛しないと慢性痛となって難治化するリスクがあるということです。
とにかく、痛みを感じたらまず鎮痛!! です。
両者の関係性とは?
ここまでの内容を少し整理しましょう。
”ストレス”は、身体の内部環境を一定に保つための反応で大切なものですが、個々人のキャパシティを超えて過剰に受けると心身に不調をきたします。
”痛み”は、神経を通り脳で感じる感覚のひとつで、その強弱は感情の影響を受け変化することが知られています。
慢性痛の患者さんではネガティブな感情によって負のループに陥り、難治化の原因となっています。
さて、”ストレス”と”痛み”の関係性をみていく訳ですが、ここまで読んでくださった方であれば十分に想像がつくことと思います。
ストレスはどういった感情でしょうか?
ストレス下で高揚感が増し、より高い実力を発揮するような事もあるかもしれません。
ですが、ヒトにとっては基本的にネガティブに感じるものであり、心身症やうつ状態になるとも解説してきました。
つまりストレスと痛みの相性は非常に悪く、痛みを強くしてしまう原因になると考えられています。
実際に、ストレスを受けると脳にある「前頭前野」「扁桃体」「側坐核」といった部位が影響を受けることが知られています。
これらの部位は、ヒトが生来持っている痛みを抑える機能(=下降性疼痛抑制系)に関わっており、ストレスによってこの機能が低下することで強い痛みが生じてしまうのです。
ストレスが痛みを生み、痛みがまたストレスとなる。
慢性痛と向き合うには、こうしたことを知っておくのも大切です!
もちろん「ストレス⇐⇒痛み」 がすべての事例に合致するとは限りませんが、間違いなく治療の第一歩にはなります。
今まさに痛みに悩んでいる方は、覚えておいて損はないと思います。
さいごに
いかがでしょうか。
今回は、現代社会に深く根差した"ストレス"と"痛み"についてみてきました。
過剰なストレスで身体のバランスが崩れ、痛みを強く感じたり長引かせたりする。
慢性痛は単に痛みが続いているだけではなく、こうした脳神経の変化が原因となりますから、健康には心身の安定がいかに大切かが分かります。
肝心の心身を安定に保つ方法については、また機会を設けて書きたいと思います。
皆さんも”ストレス”や”痛み”には十分に気を付けてお過ごし下さいね!
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